仙禽 無垢(日本酒・栃木県)
最近、端麗的な味わいの酒が続いていたので、酸の効いた芳醇な酒が呑みたいと思っていたら・・・
出会ってしまいました、酒店の冷蔵庫にひっそりと佇む鶴・・・仙禽に。
せんきん「仙禽 無垢(むく)」無濾過生原酒・中取り
720ml、1,350円(税込)
佇まいが「Japanese Wine」。
そして、何でもない日の何でもない晩飯に開封。うむむ、贅沢。
開封とともに何ともフルーティーな香りが鼻をつく。上立ち香は新しいリンゴやグレープフルーツのような、爽やかな果実の香り。この香りから、上質な酸を期待させてくれる。
口に含むと想像通り、柑橘類のしっかりとした酸味と甘味がワッと広がり、酸味の奥から味わい深い苦みが現れる。
その酸味・甘味・苦みが三位一体となり、しばらく口の中で舞うように踊り、ふわっと消えていった。
本当に口の中で鶴が舞うような味わい。これは文句なしに旨い。旨い。
お猪口グラスで3杯ほどゆっくりと味わい、美味しさに浸った後、肴とともに頂く。
今回「ワサビで頂く濃厚豆腐」や「手羽と大根のさっぱり煮」(またしても)、「鰊の糀漬け」等々で合わせたが、豆腐やさっぱり煮にはよく合ったが、味に主張のあるものどおしのぶつかり合いなのか、糀漬けにはチト難しかった。
(糀漬けには他の辛口的な酒に合わせました)
原料米は「ドメーヌさくら・ひとごこち」。
ひとごこちといえば、先日呑んだ「津島屋」もそうだった。
仙禽は全ての原料米をドメーヌ化し、作付けと同じ地下水に限定し造り上げる徹底ぶり。しかも購入した酒販店のサイトには、今年に限り精米歩合50%を35%(掛け米は50%)まで磨いているらしい。
(来年はコスト的に出来るか分からないので表記は50%)
これを「定番酒」として売り出すのだから、恐れ入ります。
そして何より、デザイナーの端くれとしては、このラベルも味わい深い。
上に下に、舞う鶴(仙禽)の絵柄。散らばる墨点はフワッと舞い上がる雪だろうか。
眺めながら一杯。ラベルもまた、肴になります。