泥酔デザイナーの酒と山の日々

家呑みデフォ、酒と山の記録を坦々と。最近は放置気味です・・・

純米 裏木曽山麓(日本酒・岐阜県)

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山内酒造場「純米 裏木曽山麓」
1.8L、2,000円(税込2,160円)

 

自称「日本一小さい造り酒屋」、岐阜県中津川市にある山内酒造場。

この蔵の酒で以前呑んだ「小野櫻 特別純米・藍ラベル」が、何とも素朴な味わいで印象深く心に残った。いつかは違う銘柄を、と思いながらも忘れていたのだが、恵那市のとある酒販店で「裏木曽山麓」なるものを見つけた。値段も手頃、純米酒にこだわった蔵の酒、という事でさっそくご購入。

 

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これまた味のある、版画ラベル。

裏木曽とは、長野県側に伸びる木曽路沿いに接する、岐阜県側の付知から下呂方面のことを言い、先日登った「小秀山」も裏木曽山麓のひとつ。この画は裏木曽の高時山か、それとも御嶽山だろうか。


開封すると、山小屋などでよく嗅ぐような木を燻した香りが鼻腔を刺激する。小野櫻と同型の香りだが、「裏木曽〜」のほうが優しく香る気がする。

一口含む。ひなびた、古酒のような甘味がフワッと広がる。が、古酒のような深みはなく、サラリと舌の上を滑っていく。深みがあるようでアッサリ。米本来の甘味と渋みがほぼ同時に現れるが、甘味に押し切られてそのまま収束した。この蔵の特徴ある旨みを受け止めながらも、少し物足りなさを感じる。

ならば燗なら・・・と、沸かしたお湯に徳利をつける。ぬる燗にするつもりが熱燗になってしまい香りが立ちすぎた感はあるが、やはり燗上がりして旨い。甘味も渋みもグッと存在を現す。含んだ時の広がり方もよく、冷やの時に見えなかった酸も現れた。熱燗で味が荒くなったのかもしれないが、それも素朴でいい。燗冷ましもイケル。もしかしてぬる燗より良かったのかもしれない。キレはないので料理を選ぶが、干物なんかぴったり合いそうだ。途中からアテも食わずにチビチビ飲んでいた。

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「裏木曽山麓」ではないが・・・

 

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以前呑んだ小野櫻のラベル。

この切り絵、蔵に違いないと思い、中津川に所用があったついでに見に行ってみた。

付知から坂下に向かう田園広がる峠道の途中、田んぼの奥に見える小さな酒蔵と小さな煙突。

 

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やはり山内酒造場そのものだった。

こぢんまりとした蔵の全景。訪れた時はひっそりとしていたのでしばらく佇んで蔵を眺め、その場所を後にした。

昔はこのような小さな造り酒屋も全国に多くあったに違いない。しかし小さい蔵はリスクも多く、凶作や腐造等で廃業を余儀なくされ、いつの間にか淘汰されたのではないだろうか。そんな中、21代にも渡って営んでいるとは、本当に頭の下がる思い。

いつまでも、うまい酒を造り続けていただきたい。