泥酔デザイナーの酒と山の日々

家呑みデフォ、酒と山の記録を坦々と。最近は放置気味です・・・

富久長 純米吟醸 八反草 槽しぼり無濾過原酒(日本酒・広島県)

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今田酒造本店「富久長 純米吟醸 八反草 槽しぼり無濾過原酒」
720ml、1,500円(税込1,620円)

 

東広島市安芸津町にある今田酒造本店。

このお酒をいただく前、この辺りが「吟醸酒の里」ということを初めて知る。

今から190年ほど前、ミネラル(主にカルシウム)が多い兵庫・灘の「硬水」に比べ、ミネラルが少ないこの辺り一帯の水「軟水」で旨い酒が出来ないかと研究を重ねた安芸津醸造家・三浦仙三郎が、今の吟醸造りに通じる「軟水醸造法」を生み出す。さらに安芸津の隣、西条では日本初の動力式精米機が誕生、これをきっかけに広島の酒が世に広まっていった、という事だ。全国で醸される吟醸酒のルーツがこの地とは、今さらながら驚いた。「そがぁなことも知らんかったんか」と広島の人に怒られそうだ。

「富久長」という酒銘も三浦氏に命名していただいた、由緒ある名前。

 

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瑞々しいリンゴのようなバレンシアオレンジのような上立ち香にいきなりヤラレル。何ともフルーティー、そして嫌みのない吟醸香。そのまま一口。フワッと柔らかな酸が広がる。セメダイン系な酸味?何だろう、フルーティーだけの酸ともちょっと違う。と思っていると、柔らかな酸が徐々に旨味の乗ったしっかりした酸に姿を変える。そして喉へと落とす瞬間、含み香とともに蜜と酸の乗ったリンゴの旨味が現れる。少々の苦み、引き際鮮やか。

いやぁ〜旨い。いろいろな酸味があるが、これは複雑、だが旨い。

まさに純米吟醸、無濾過の味わい。キレがいいので呑みやすい。しかし、その呑みやすさの中に複雑な酸味と複雑な旨味が現れるので、そのままゴクリと喉に通すのをためらってしまう。一口一口、吟味しながら、そして唸りながら杯を進めた。

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もうひとつ、この酒の大きな特徴として「八反草」という米だろう。

今田酒造のサイトには事細かに八反草のことが記載されているのでここに書くまでもないが、とにかく個性的な米で、サイト内を読みふけってしまった。そういえば、酒を扱った漫画にもこんなストーリーがあったなぁ。

先程感じた複雑な味わい、これが八反草から醸し出された味わいなのだろうか。だとしたら唯一無二、何ともすごい米だ。

などと考えつつ我に返る。
いかん、ちょっと頭でっかちになっている・・・残りは日を改めて楽しもう。

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