泥酔デザイナーの酒と山の日々

家呑みデフォ、酒と山の記録を坦々と。最近は放置気味です・・・

山和 特別純米 蔵の華60(日本酒・宮城県)

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山和酒造店「山和 特別純米 蔵の華60」
1.8L 2,500円(税込2,700円)

 

宮城県は人気の山和。たまに行く酒販店にドドンと入荷、即購入。ラベルがなんとも美しい。

個人的に和紙と墨文字だけのシンプルなラベルが好きで、更に、文字に勢いや何かデザイン性があるものに魅力を感じる。

この山和のラベルも非常にバランスのとれた文字と配置で、味わいの噂は書物やネット等で聞きかじっているものの、それ以上にラベルのセンスに味の良さがにじみ出ている様に思える。そういった意味でラベルって本当に大事、なんたって一見(イチゲン)に対する顔となるものなのだ。

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夕食とともに開栓、上立ち香を嗅ぐ。セメダインとも、メロンとも取れるイソアミル系の香りがほんのりと香る。いい香りだが、この「ほんのり」が「夕食を邪魔しませんよ」と言っているようで期待大。

含むと、酸味とか甘味よりも、なにより米の旨味を感じる。米の旨味の中に酸味と甘味がバランス良く溶け込んでいるようだ。スッと入ってきて呑みやすいが、それは「スッキリ」ではなく「しっかり」とした呑みやすさ。さらに肴を食べながら飲むと、「しっかり」さという主張が影を潜め、料理を中心に持ってきてくれる。懐が深いというのか、器が大きいというのか、自らの主張をせずともどんどん呑ませようとする、とんでもうまい食中酒。

その味わいは、燗にしてもなおさら料理を引き立てる。ぬる燗でいただくと、口に含んだ瞬間、米の甘味を中心とした旨味ののった味わいが「華を咲かせた」ようにフワッと広がったかと思うとジワジワ辛味が現れ、最後に酸味とともにスパッとキレる。冷やも旨いが断然これは燗が旨い。残りは全部、燗でいただきたいほど。

バランスが良すぎて個性的な酒とは縁遠いが、それがまた個性。久しぶりに一升瓶で購入したのでよかった。一升瓶だから、しばらく晩酌が楽しみ。

 

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「蔵の華」は宮城が誇る酒造好適米で、宮城県が「全県的に普及を奨励する品種」のひとつとして挙げている。

母が「山田錦」と「東北140号」を掛け合わせた稲、父が「東北140号」で交配された品種。

この「東北140号」は「チヨニシキ」と「コガネヒカリ」の交配種で、また「コガネヒカリ」は「初星(愛知26号)」と「奥羽295号」の交配種、「チヨニシキ」は「初星」と「トヨニシキ」の・・・・・・・と、チョット調べるだけでも、米というものは数え切れないほどの交配を重ねて今に至ることに、ただただ感心する。

そんな「蔵の華」だが、なんでも固い米らしく、突破精(つきはぜ)麹でじっくりと溶かしていくことでドライなカッチリとした味わいになるそうだ。(某酒販店のブログより)

様々なところで苦労を重ねた結果「華を咲かせた」味わいに変わる。いやぁ、見事な酒。

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